教育実習先でのパワハラ・セクハラと、その対策について

この頃、教育実習中に現職の教師からモラハラやパワハラまがいの行為を受けるケースが存在していると聞きます。例として2016年8月の日本経済新聞による記事を見てみましょう。

教育実習で深刻なセクハラ 調査チームが報告(日本経済新聞)

教育実習生が実習先の学校の教員から深刻なセクシュアルハラスメントやパワーハラスメントを受けるケースがあるとして、内海崎貴子・川村学園女子大教授(ジェンダー平等教育)らの調査チームが24日、札幌市で開かれた日本教育学会で実態を報告した。

チームが昨年、関東地方などの大学に在籍し教育実習を終えた学生594人(女性501人、男性93人)を対象に実施したアンケートでは、3.5%に当たる21人がハラスメント被害を直接受けたと回答した。自分以外への被害を見聞きしたのは35人(5.9%)だった。

この調査に関して言えば、20人に1人が教育実習中に何らかのハラスメントを受けているといえます。この数字を仮に全国規模に敷衍して考えても、20人に1人という割合は決して少なくないと私は判断します。

ここで、ハラスメントとはそもそも何なのかを確認します。




モラハラ・パワハラ・セクハラの定義は?

もともと「ハラスメント」は嫌がらせの意ですが、身体的な苦痛や精神的な苦痛を与える行為全てを含みます。そして、「モラハラ」「パワハラ」「セクハラ」における行為は、特に加害者が意図しようがしまいが関係なく行った全ての嫌がらせの行為を指します。

それぞれのハラスメントの定義は以下のとおりです。

①モラルハラスメント(モラハラ):価値観やルールを利用したハラスメント
②セクシャルハラスメント(セクハラ):性的なことを利用したハラスメント
③パワーハラスメント(パワハラ):権力や上下関係を利用したハラスメント

教育現場で起こりうるハラスメントの具体例を挙げると、

・現職の教師が、異性の実習生の身体に触れる。
・複数名の現職教師が実習生を囲い込みにし「あなたのせいで学級が台無しになった」などと口々に不満をぶつけて威圧する。
・実習生の授業(教科指導)の準備に必要な時間やアドバイスを与えず「自分で考えろ」とだけ口にする。そのくせ授業がうまくできなかったことを口実に、実習生に向かって怒鳴り散らす。

こういったものが考えられます。これらは典型的なモラハラやセクハラの例ですが、現職の教師対実習生という上下関係を利用したパワハラとして捉えることもできるでしょう。

私の知っている教育実習生へのモラハラ・パワハラ・セクハラ

実は先ほど挙げたハラスメントの例のなかに、私が知り合いづてに聞いたハラスメント行為があります。それに加え、ここでは別の実習校でのハラスメントの例を示します。

その実習校は、私の住んでいる自治体のなかでも荒れていることで有名な中学校でした。その実習校へ出勤した実習生は、実習の初日に子どもたちの前で挨拶を済ませました。すると、ある教師が子どもたちに向かって「この実習生は良くないので、できるだけ関わるな」と伝えたそうです。以後、生徒たちは実習生との接触を避けるようになり、コミュニケーションはおろか、普段の授業を進めにくくなったのことでした。授業は生徒への理解があってこそ成り立つものですが、この教師は実習生の生徒理解を著しく妨げているわけです。

この教師は、実習生に対する根拠のないマイナスイメージを吹聴し、生徒をコントロールして実習生の学習の機会を妨げています。そして、これらの行為はハラスメントであると断言でき、このような態度は訴えられてしかるべきだと私は判断します。(念のため補足ですが、この実習生が特段印象を下げる行為をしでかしたというわけではなかったようです。)

事情を察するに、そのような評価の低い中堅の教師が荒れている学校に異動させられているのではないかと私は想像します。それでも、ただでさえ不安定な環境下で育っている生徒たちがハラスメントを行う先生の下で学習していると考えると、心配です。

では、私たちはモラハラやセクハラに遭った際に、どのように対応すれば良いのでしょうか。

考えられるモラハラ・セクハラ対策

現職教師と実習生関係である以上、立場の弱い実習生が現職教師のハラスメント行為を抑止するのは難しいと考えます。従って私たちにできる最も有効な手段は、ハラスメントの記録をとって大学に報告すること。そして、実習生よりもずっと力のある大学の教育実習委員に、実習校と直接交渉してもらうことでしょう。それが先のモラハラを防ぐ一番の手立てだと考えます。

まず、すべてのモラハラ・パワハラ等の行為を記録しましょう。日時、場所、加害者の名前と具体的な行動等できるだけ詳細な情報を紙に書き残しておきます。ハラスメントの報告は実習後でも構いません。ただ、あまりにも行為がひどく堪えられそうにないのであれば、すぐに学生課などの教育実習を司る大学の組織に連絡し、記録を提出しながら相談しましょう。そしてもし可能であれば、実習校を変えてもらうなどの措置をとってもらいましょう。

詳細に記録を書くのは、窓口での相談が受理されないのを防ぐためです。というのも、パワハラ等の相談しても受け付けない大学が実際に存在するためです(大学や実習校内での学生に対するハラスメントは学生の教育の機会を奪っている場合が多いため、本当は大学側が相談を受理し対策しなければなりません)。

また、即効性はありませんが、学生同士で教育実習中のハラスメント防止のための委員会や学生団体を組織しておくことも、手段の一つでしょう。というのも、現在詳細に調査をしている団体には限りがあるからです。教育学部をもつ大学の学生課でも、ハラスメントを調査・対策しているところは稀でしょう。従って、自分たちでハラスメント対策のための組織を作り、長い時間をかけて実態を調査し対策を講じるのも良いと思います。

そうでなければ、ハラスメントを調査してくれる権威や組織、外部団体の出現を待つしかないかと思います。




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