英語の教材研究と授業法②〜英文法の導入のしかた

生徒にとって身近な表現を導入する

これはおそらく多くの指導者が意識している点でしょう。例えば、教科書内に書かれた基本文が”She goes to city hall.”だとした場合、

・生徒は市役所にほとんど行かない、身近ではない
・彼女って誰?

といった懸念が浮かびます。

生徒にとって身近な題材や表現を使うことは基本中の基本だと思います。教科書内の基本文が生徒に親近感をもたらさないのであれば、積極的に指導者の考えた基本文を取り上げるべきでしょう。

生徒にとって身近な題材と使用する文法の例を以下に挙げます。

①隣の席にいる友人の交通手段を記入する(三人称単数)

・◯◯ comes to school by bike.

・△△ walks to school.

②修学旅行の予定を言う(予定を表す be going to ~)

・We are going to go to Tokyo on April 24th.

③自分のいる地域に何年住んできたかを説明する(現在完了形の継続用法)

I have lived in Aomori City for 15 years.

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形式に注目する(Focus on Form)

文法の導入の方法のひとつとして、形式に注目させる方法があります。すなわちFocus on Formです。Focus on Formの簡単な方法として、2つの文章を比較させて語や文のカタチに注目させることが挙げられます。
三人称単数を例にとって説明します。

★★★

指導者はまず、口頭で以下の2つの文をそれぞれ2回読み上げます。

・I get up at 6 o’clock.
・◯◯(生徒の名前) gets up at 6 o’clock, too.

指導者は「今の2つの文の使い方の違い、聞き取れた人はいますか?」と尋ねます。おそらく、「tooの有無」「IとSheの違い」「getとgetsの違い」に言及する生徒に分かれるでしょう。

もし、「getとgetsの違い」が聞き取れた生徒が出てきたら、指導者はもう一度上記の文を読み上げて、getとgetsの音の違いを確認させます(生徒のレベルに応じて、この2文を黒板に書いたり、”get” “gets”のみ板書してもよいでしょう)。

ここで指導者は、三人称単数のsについて初めて明確に説明します。「このように、I でも Youでもない人が出てきた時には、getにsをつけてgetsと発音します。ただし、人が二人以上のときには、sつきません。」

それから、混同を避けるための整理をします。以下の文を黒板に書きます。

・I get up early.
・We get up early.
・She gets up early.

指導者は、「さっき、IとYouのときには、getにsがつかないと説明しました。Weのときは、getにsついてますか?」と尋ねます。生徒は、「ついていない。」と答えるでしょう。

指導者は、「そうですね。このように2人以上のときには、sはつかないので、注意しましょう。」と説明すればよいでしょう。

★★★

三人称単数の導入のしかたは、以上です。おとまかな流れとして、

①既習の文法を使った文と新しく習う文法を使った文の比較をする
②生徒が間違えそうな紛らわしいポイントを整理する

というようになっています。

①の説明だけでは正確に英語で表現できないと考えられます。その不足を②で補います。として、

・疑問系における三人称単数の動詞の使い方
・going toと現在進行形との違い
・ifの副詞節内の未来の表現(現在形に変更)

…等々、混同したり間違えやすい点について詳しく説明しましょう。

日本語で意味を推測させる

文法の導入のもう一つの手段として、意味から導入する方法があります。例えば、going toの意味を導入で説明したい場合には、生徒にとって身近だと思われる以下の文を用います。

“We have a school trip in Tokyo next week. We are going to visit Asakusa on April 24th, and we are going to visit …”

指導者は、

・何について話していたか
・繰り返し出てきた表現going toの意味は何だと思うか

これらを発問して生徒の考えが固まったら、生徒の意見を発表させます。
そして、現在進行形とbe going toの違いを比較し、意味も用法も異なることを伝えます。(Focus on Form)

She is visiting us.
She is going to visit us.

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 なるべく文法用語は使わない

導入の段階では、「三人称単数」「未来形」「現在完了」といったワードを出さなくてもいいかな、と個人的に思っています。最優先事項は形式・意味・用法に注目させることであり、文法用語を覚えることではないのです

指導者の多くが、「主語」「動詞」「三人称単数」「関係代名詞」等の文法用語を使って文法説明をしてしまう傾向にあります。文法用語を使用するメリットは、用語の定義を理解することで、文法の構造を詳細に説明することができることです。高校での文法の学習には特に活きるでしょう。(このように実際に専門用語を使って指導するか否かは、中学高校の連携の上で指針を決める必要があります。)

デメリットとしては、小難しい専門用語の定義を逐一確認しないといけないことや、生徒にとって身近でないことが挙げられます。もし、指導者が「主語」「一人称」などの語を生徒が分かっている前提で授業を進めてしまっているのならば、生徒を置いてけぼりにすることにもなりかねません。

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