英語の教材研究と授業法④〜4技能を高め、有機的に関連づける

4技能の向上のためにリスニングを頻繁に取り入れよう

一つ前の記事である英語の教材研究と授業法③(同サイト内記事)では、オーラルイントロダクションを強く推していますが、これはリスニングが4技能すべての能力の源となるためです。リスニングは、授業のいたるところに積極的に導入すべきでしょう。

そもそも人間は、母語を「話す・聞く」→「読む・書く」の順で言語を習得していきます。さらに、リスニングの能力が高いとリーディングの能力も向上する、という研究結果もあります(ただし、リーディングの能力が高いからといってリスニングの能力が高まるとは限りません)。これらのことからも、音声を通じてインプットを行うことの重要性を認識させられます。

また、4技能の取得順序をさらに細かく言えば

・スピーキングの能力を上げるためにはリスニングの能力があることが前提
・ライティングの能力を上げるためにはリーディングの能力があることが前提

となります。

白井恭弘氏によれば、言語学習には大量のインプットと少量のアウトプットが必要(別ページリンク)だと言われています。アウトプットを行うためには、豊かなインプットが不可欠となります。インプットは原則リーディングやリスニングで行いますが、アウトプットはライティングとスピーキングで行いますしたがって、上記の2つの項目が成り立つわけです。

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多くの教科書は4技能が有機的に関連付けられていない?

僕の大学の教授は、高校英語の教科書『POLESTAR』(数研出版)を例にとり、「これが4技能を有機的に関連付けられていない」とボロクソに叩いていました。『POLESTAR』に限らず多くの高等学校の英語教材が、4技能を有機的に関連づけられるような項目の設定ができていないようです。

多くの教科書や副教材に見られる問題点の例は、以下の通り。

・使用する技能に偏りがある。読んだり聞いたりする活動の割合が少ない。
・生徒が授業で得た知識を活用しにくい

・導入のリスニングがや練習問題が穴埋めに終始しており、テーマや英語への深い理解に繋がらない。
 (ex. 英単語の意味を日本語で書く練習問題が設けられているとなっている)
・リスニングやリーディングのために設けられた問いの意味が薄い(文章のテーマの核となる部を問うていない)
・本文で読んだり聞いたりした内容とは全く関係のない事項について英作文・プレゼンをさせられる(技能の統合が難しい)
・話したり書いたりするための活動にそぐわないテーマが設けられている
・前の活動が次の活動への助けになっていない
・議論のトピックが生徒の知識や関心からかけ離れている

指導者はこういった項目を参考に、自身の教科書が指導に相応しいものかどうかを確認し、さらに不要な項目を削除したり、より効果的な設問を設けるために試行錯誤する必要があります。

 ラウンド制指導法のすすめ

4技能の統合を図るための手法として紹介されているものの1つが、鈴木寿一氏による「ラウンド制指導法」です。これは、1つの教材を4つの技能を使って次第に理解するための手法で、

・インプット (1〜3ラウンド)
・インテーク (4〜6ラウンド)
・アウトプット(7〜9ラウンド)

というように大きく3つの段階を踏みます。

各ラウンドで目指すべき目標と、その目標を達成するための活動内容の例が以下に示されています。

1~3ラウンド・・・インプット=英文の内容理解
  • 第1ラウンド:内容の理解
    • 【活動】レッスン全体を大きく読む。必要に応じて語注を与え、各パラグラフのタイトルをベースにした和文内容一致選択をガイドに本文を黙読させる。
  • 第2ラウンド:内容の要点理解
    • 【活動】語彙指導、朗読をペースメーカーにして黙読。和文内容一致選択の答え合わせ。
  • 第3ラウンド:内容の細部理解
    • 【活動】新出語句再チェック、発音練習。本文の細部についての質問をガイドに朗読をペースメーカーにして英文を黙読後、答え合わせ。
4~6ラウンド・・・インテイク=文構造の理解と音読練習
  • 第4ラウンド:文構造と言語材料の説明と理解
    • 【活動】TF Quizを行うことを予告して、内容を思い出させながら、朗読をペースメーカーにして英文を黙読させる。TF Quizの答え合わせ。生徒が理解できていない箇所の文構造説明。説明したものを、徹底的に音読させる。語彙の発展学習。指示語の確認。
  • 第5ラウンド:音読による内容理解と言語材料の内在化
    • 【活動】音読練習の後、英問英答。さらに音読練習。
  • 第6ラウンド:和訳と音読による言語材料の内在化
    • 【活動】発展的音読練習(パラレルやシャドーイング)、必要な箇所の和訳(予習させる)。和訳した英文を徹底的に音読させる。
7~9・・・アウトプット=リプロダクションからコミュニケーション活動へ
  • 第7ラウンド:音読による言語材料の内在化とリプロダクション
    • 【活動】発展的音読練習。穴抜き英文を音読させる。英問英答(教科書を閉じて)。
  • 第8ラウンド:復習
    • 【活動】発展的音読。要約文を書かせる。
  • 第9ラウンド:コミュニケーション活動
    • 【活動】オーラルインタープリテーション。ダイアローグ化。ドラマ化。ダイアローグ・ドラマを書き下し文に書かせる。続きを書かせる。自分の意見を書かせる。

(引用:『ラウンド制指導法』 鈴木寿一より)

この例の場合、活動の多くがリーディングやライティングに偏っていますが、実際には各ラウンドでリスニング・スピーキングの要素も入れていきます。例えば、ラウンド1のはじめには、リスニングCDで本文の音読を聴くか、テーマや内容についての理解を促すオーラルイントロダクションを加えるべきでしょう。

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英語における、読解を促すはたらきかけの種類

私の教授によると、英語の読解活動における発問は3種類あるようです。

・事実を確認する発問をする(いわゆる事実発問。書かれた情報をそのまま発問する)
・推論を促す発問をする(いわゆる推論発問。文章に書かれた内容から質問の答えを察する)
・本文の全体像を把握させる(図を描かせる、趣旨をまとめさせる・要約させる。

事実発問は比較的難易度が低く、推論発問や本文の全体像を把握するための発問は難易度が高くなります。ラウンド制指導法の各ラウンドにおいて、どの種類の発問が有効なのかを考慮していきましょう。

以下、ラウンド制指導法を構想した鈴木寿一先生の本です。

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