福祉系NPOで数ヶ月勤めた新卒が、勤務環境ややりがいを語る

労働環境の劣悪さが指摘され続けている中、ここ数年NPO(非営利団体)に就職したいという人が増えているといいます。以下は2013年と少し古めのweb記事です。

NPOへの就職、希望する若者が増加 多彩な活動で人気(日本経済新聞)

この記事はデータに基づいておらず、本当にNPOに人気が集まっているのかは疑問です。しかし、勤務環境が劣悪な一般企業が取り沙汰されている中で、社会貢献を志向しているNPOに人気が集まるのは自然なことなのかもしれません。

僕もNPOに数ヶ月勤めてその内情を少し知ることができたので、記録としてここに書き残すことにしました。

僕がNPOに勤めることになったきっかけ

きっかけは大したことではありません。強いて言うなら、親に「就職活動をしろ!」と言われ、重い腰を上げたことがきっかけでしょうか。

僕は教員志望でしたが、大学の勉強をサボり続けてきたツケが回ってきたこともあり、教員採用試験の勉強内容が全く頭に入ってきませんでした。さすがにこれはまずい、と試験4ヶ月前に教職を諦め、某就活サイトを眺めていました。しかし、どうも気が進まない。過去にアルバイトで仕事が全くできず使い物にならなかった僕が会社に勤めたらどうなるかは、火を見るよりも明らかでした。

そして、ついに今の僕の職場の求人を見つけます。そこは、一般企業ではなくNPOで、業種は福祉。キャッチコピーは、「あなたの生きづらさが仕事に活きる」「競争的な社会に疲弊していませんか?」というようなもの。僕も非競争的な社会のそして、教員免許を取得するために必修であった介護実習が苦にならなかった経験もあり、介護福祉系の業界は向いている自覚がありました。というわけで、とりあえずそのNPOの求人にエントリー。

したがって、NPOに面接をするにあたり「社会貢献しよう!」という希望や夢に満ちた高揚感はなかったし、むしろ職場に適合できるかどうかを常に心配していました。

そして、1次面接にて合格をいただくと、1ヶ月のインターンを経て無事正規職員として内定をいただくに至りました。2017年1月現在、あと数ヶ月で大学を卒業しますが、一足早く非正規職員として職場で働いています。

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福祉系NPOの仕事内容

僕の所属する法人は、福祉系のいわゆる就労支援B型というカテゴリに入ります。

職員の行う業務は、法人の利用する施設の利用者さんの様子の記録や、人間関係のマネジメント、清掃、食事と住居(グループホーム)の用意や管理、施設や病院への送迎等、といったところです。

ある程度キャリアを積むと、利用者さんの経済面や薬の管理、利用者さんの就労の斡旋等もできるようになります。

労働時間や残業は?

勤務時間は、10時〜19時の9時間労働。休憩はしっかりいただけますが、日によって残業や時間外労働が発生します。

残業は、1日あたり1時間ほどしている方がほどんど。月に換算すると20時間前後くらいになるでしょう。僕はまだできる仕事が少ないので、残業は長くても1日30分程度ですね。

時間外労働は多くとも週2回で、1回あたり2時間ほど要します。

また、週休2日はしっかりと得られます。有給は職場の性質上とれないでしょうが、必要になれば勤務日にも休みを取れます。

疲労・ストレスはないの?

福祉の現場のなかでも、知的障害や身体障害を抱えた方の支援となると、肉体労働も多くストレスになるのではないかと予想しています。

僕の職場の場合、発達障害や精神障害を抱えた方が施設の利用者さんのうちの多くを占めていたり、基本的に自分でできることは自分でするようにお願いしていることもあり、(言葉は非常に悪いですが)職員から手をかける必要のない方が多いです。したがって、肉体労働は皆さんが思っている以上に少ないと思います。

特に利用者さん同士をはじめ、職員と利用者さんとの距離感や職員同士の距離感に敏感な職場であるため、お互いに深く干渉することもなく、その点ストレスは少ないです。

やっぱり給料は安い?

NPOでかつ福祉職となると、相当給料が安いのではないかと懸念する方が少なくないと思います。実際、時間外勤務がないと給料は安くなります。大卒新卒でNPOに雇用された正規職員の多くが月給15万前後、手取りで13万程度かと思いますが、僕のところも同様の額になっています。

将来的に結婚を考えている男性の方にはこの職をあまりおすすめできません。NPOでは、収入の大幅な増加が期待できないからです。ちなみに、40代のNPO職員の平均給与が、22~25万と言われています。

僕の場合、利用者さんが住んでいるグループホームに住み込みで生活しており家賃と雑品にかかるお金がほぼ0円であるため、比較的生活は楽になります。また、勤務地が田舎なのであまりお金を使わずに済んでいます。大した趣味がない僕にとっては、田舎暮らしは苦になりません。かつて大学寮で暮らした経験が助けてか、グループホームでの共同生活も全く苦になりません。

数年間は大丈夫でしょうが、残り数年を見越して副業に手を出そうかも考えています。ちなみに僕の職場には副業規定がないため、実質副業はOKであるとのことです。

人間関係はどんな感じ?

おそらく多くの人が心配なののは、職場の人間関係だと思います。僕の職場では、上司が職員の人間関係や心の状態などにある程度コミットし、配慮してくださいます。一方で、トップは一般の企業に比べて部下を叱咤激励したり戒めたり、ということをしませんし、かといって能力の有無を指摘して責め立てるということはしません。理事長は、「職員がいかに幸せに暮らせるかどうかで、利用者さんと共存できるか決まる」と話しています。僕はまだ彼の真意はわかりません。それでも、彼のこのような考えに助けられています。

人間関係が良好かどうかは、当然ながらその構成員次第なのかな、と思います。僕の同級生も教育系のNPOに勤めていますが、彼の上司はかなりビジネス的な発想に富んでいるといい、人を動かせるタイプの人だそうです。一方でその上司の出来の良さゆえに劣等感を感じ、苦労している側面が垣間見えます。NPOはあくまで民間団体ですし、金銭のやりくりやブランディング等でビジネス的な発想は必要になるので、NPOの職員すべてが非競争的な考えをしているとは限らないのでしょう。

福祉職におけるやりがい

なんといっても、今の職場に勤めるメリットは自分の在り方をはじめ、どうすれば支配と依存、差別を防げるかについて考えられることでしょう。これらについて考え実践することで、以前に比べてとても気楽に生きています。

僕がインターン期間中にほかの職員さんによる支配と依存に陥ったときに、理事長がその職員と私を切り離してくださいました。その瞬間、僕が支配的な人間を恐れているのにもかかわらず世間体を気にしているゆえに支配者に従っていること、同時に人間が容易く支配と依存に陥りやすいことを思い知りました。僕を支配した職員さんは現在も職場にいますが、以来その職員さんとは適度な距離を保っています。

そして、最終的に差別等についてに考えられることが、社会貢献やキャリアアップに結びつくのだと理事長は言います。僕にはまだ理事長の考えていることのすべてを理解しているわけではありませんが、現段階では理事長の言葉を信じています。

福祉職に向いていない人

成長志向の人は、ほかのNPOか一般企業に行った方がうまくいくと思います。他人の欠点を許せない人や努力主義者も、介護や福祉の現場では続かないでしょう。

また、差別や鈍感な人や、利用者さんへの差別をしている自己と向き合えない人は、遅かれ早かれ職場を辞めることになるのかな、と思っています。過去に僕の職場を辞めた人も、最終的に差別をする自分への罪悪感に苛まれて職場を去ったようです。

加えて先ほども書いたように、給与が低いため将来的に結婚を考えている男性の方にはこの職をあまりおすすめできません。

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僕の結論・今の職場で満足してます

これから僕の心境に変化が困難があるのかもしれませんが、現時点で僕は今の職場に満足しています。

まず、自己の在り方や差別・支配について考えられるという点が僕がこの職場にいる最大のメリットになっています。自分の差別感情や支配を自覚し、それを防ぐことで、以前よりもずっと生きるのが楽になっています。

労働環境や給与等の条件も納得した上で、内定をいただきました。

就活中の方や転職を考えている方で、福祉職やNPOに就こうか迷っている方もいるかと思います、ぜひ僕の経験を一つの例として参考になさってください。

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