ペンギンの生態と南極を知る!ルポ『ペンギンの楽園』を紹介します

水口博也さんによる写真ルポ『ペンギンの楽園』が良書だったので、紹介・レビューします。前もって伝えたいのが、本著は、単なる「ペンギンかわいい」に終始するようなものではないということです。

(写真のペンギンは、南極に住むジェンツーペンギンです。)




南極をとりまく地理と生態系を知る

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以前このブログで紹介した写真集『世界の美しい鳥』では、鳥たちの色彩に注目しました。一方で今回紹介する『ペンギンの楽園』は、南極の地理やそれをとりまく生態系にフォーカスしています。より具体的には、南極を中心にどういう島があって、その周囲をどんな海流が流れていて、気候はどうで、そこではどんな生き物がいて…といったことが書かかれています。

加えて、外来種の問題や温暖化由来と思われる地形の変化についてもわかりやすく書かれています。近頃、日本で環境問題が叫ばれることがなくなり、その信ぴょう性も曖昧になっていますが、ここ100年で確実に南極の環境が変化していることは分かります。

写真や図とともに、比較的平易な文で南極の説明が書かれているので、南極に関する知識の入門にはもってこいですね。ルポの文章はめちゃくちゃうまいので、個人的にブログ執筆の参考になります。

生命の豊かさと厳しさを感じる

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生物や地理に疎いな僕は、南極が凍てつくような寒さであるため生命活動が乏しいのだと予想していました。ルポを見れば分かりますが実際はその逆で、南極の生命はこれでもかと言うほど豊かです。本著でも、おびただしい数のペンギンが収められた写真が何枚も掲載されていて、そこから生命の豊かさを確かめることができます。その数々の写真に、僕も圧巻させられました。

一方で、弱肉強食的な自然界の厳しさも目の当たりにします。というのも、南極の生態系に組み込まれたペンギンたちには、常に命の危険が伴うわけです。その例として、ほかの獰猛な鳥類やが血に染まりながらペンギンの卵や腐肉をついばむ写真があったり、無残に食い荒らされたペンギンの死骸も容赦なく載せられています。




ペンギンの生態を確かめる

Antarctica: Emperor Penguins at Scott Base

この本は3つのチャプターから成り立っているのですが、ペンギンの1つの種の生態に着目し、その姿を撮り続けたチャプターがあります。そこで取り上げられているのが、ジェンツーペンギンとヒゲペンギン、コウテイペンギン(上記写真に掲載)などの種です。営巣する姿から旅路の途中に集団で休憩する姿まで、撮影された姿は様々です。

一部の写真では、「これは明らかに愛でる対象だろう」と思われるペンギンの姿もあります。やっぱり、コウテイペンギンはかわいいですね。特にコウテイペンギンのヒナには惚れ惚れします。「あとがき」欄の横に載せられたヒナは、必見です。

著者の水口博也さんについて

水口博也さんは写真家でありジャーナリストです。京都大学理学部動物学科を卒業後、出版社に勤めながらクジラやイルカの撮影に取り組みます。のちにフリーランスとして活動を始めます。それから出版社「スフィアブックス」を立ち上げ、『Sphere』というドキュメンタリー雑誌や多くの写真集を出版しています。主にクジラの撮影で世界的に高い評価を受けているそうです。

見たところ、水口さんはあまりメディアへの露出は多くなさそうでした。

ちなみにyoutubeのsony公式チャンネルでは、水口博也さんの撮影した動物たちを見ることができます。ここでは著書にも取り挙げられているジェンツーペンギンの動画を載せます。この動画に映るアザラシやオオトウゾクカモメはペンギンの天敵であり、ジェンツーペンギンたちが常に死と隣合わせであることを知らしめています。

おわりに

僕は誕生日プレゼントとしてこの本をもらいましたが、もらって良かったと思っています。というのも、この本は単に「動物可愛い」が前面に押し出されたものはなく、知的好奇心をくすぐるようなものだからです。動物を愛でるだけなら、SNSでシェアされる画像でできますからね。そういった画像や動画で満足できない方こそ、見直すべき本だと思います。そして先にも書きましたが、南極入門にも良い本だと思います。

余談ですが、以前アデリーペンギンが15万匹なくなったというニュースが流れましたね。
ペンギンが大量死、氷山に餌場への道阻まれる 南極大陸(CNN.co.jp)

(当記事に掲載されている写真は、本著に載せられたものではありません。)

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