シンゴジラの感想/蒲田くんが可愛いって正気か?

※以下、映画『シンゴジラ』のネタバレを含むのでご注意ください。

『シンゴジラ』見ました。

皆さんがかなり深い考察を展開されている中で非常に小並な感想となってしまいますが、『シンゴジラ』について個人的に思ったことをつらつらと書きます。




「蒲田くん、かわいい」って、正気か?

「シン・ゴジラ」におけるゴジラは全部で四つの形態があります。海にいた頃の第一形態。蒲田に現れた、死んだ魚のような目をしていた第二形態。品川に現れた、手足が発達していない第三形態。そして、鎌倉に現れ、ほぼ姿形が完成された第四形態。

ゴジラ第二形態。通称、「蒲田くん」。蒲田に登場したので、「蒲田くん」というネームになっています。twitterで話題になっている蒲田くんのイラストが何を意味するのか、映画を見てからようやく知りました。

ってか、ずいぶんかわいい蒲田くんの画像で溢れてますね。「シンゴジラ 第二形態」って検索しても、おぞましい第二形態の姿はあんまり出てこなくて、あんまり怖くないフィギュアとか、ポップでかわいいイラストや、パンになった蒲田くんが出てくる。

僕は、第二形態に関してはとにかく「恐ろしい」という印象を持ちました。

多くの人が考察のなかで、ゴジラに対し「畏怖を感じた」「壮大さに涙がでた」という感情を抱いたようですが、僕はあまりそのような印象を抱かなかった。

むしろ僕は、第二形態が目に入ったときから、ゴジラに対して強烈な恐ろしさを感じました。死んだような目、グロテスクな姿、赤い液体が放出されるエラ。とにかく怖かった。

そして、ゴジラ第四形態がついに東京を放射能で覆い、それを伝える報道が無機質に何度も流れる。絶望感。

あの映画を見た多くの方々が、やはり先の東日本大震災を思い浮かべたと思います。そしてあのおぞましい第二形態の姿を振り返ると、核の象徴であるゴジラは、絶望のメタファーなのではないか、とさえ思います。

『シンゴジラ』の撮影に協力した国会議員の枝野幸男さんが「震災のときはもっと大変だった」とこぼしていたようです。枝野さんに対して批判もあると思いますが、さすがに共感します。

未曾有の災害であり、そもそも政府にそういった震災への対応力がなく、結局頼るのは自衛隊。それでも津波や原発事故をどうしようもない。あの映画でも疲弊している議員たちの様子は書かれていますが、劇中の議員よりも震災時の議員の方がはるかにしんどい思いをしたのはさすがに想像つきました。

ゴジラ第四形態が自衛隊のヘリや戦車を撃墜し、放射能を東京に放った際には、僕もさすがに救いのない気持ちになりました。僕は直接に震災を体験してませんが、「ああ、震災や原発に正面から向き合わざるを得なかった人たちの気分は本当に最悪だったんだろうな」と思わざるを得ませんでした。

このように、恐怖と絶望を強烈を感じさせてくれた、ゴジラ第二形態と第四形態。

だから思うんです。「蒲田くん、かわいい」って、正気か?と。

むしろ蒲田くんは恐怖のメタファーだろう、と改めて強調しておきます。姿形もさることながら、先に起こる絶望への予兆を感じさせる存在なのではないかなあ、と僕は思います。

エンターテイメントを欲する方の気持ちも分からなくはないのですが、やはり『シンゴジラ』で初めてあの怪物を目の当たりにしたときの衝撃は、忘れたくないですね。




最後に

『シンゴジラ』自体はとても面白かったです。

ゴジラという架空のキャラを通じて、原発や核兵器を単に畏怖や憎悪の対象と捉えるべきではないというメッセージを最後に突きつけられたように思います。長谷川博巳さんの演じた議員は、これからの日本に必要とされるリーダー像なのでしょう。

この映画、もう一度見直したいですね。

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コメント

  1. るる より:

    始めまして、記事読みました。
    私はシン・ゴジラ見れていないのですが、蒲田くん話題が溢れて少しは知る事が出来ました。
    確かに恐怖の象徴的存在であろう 蒲田くん。しかし生物としてみると、グロテスクで恐ろしさを感じる反面、幼子が不完全な身体で一生懸命歩いている、それと変わらないようにも思えます。
    そんな所は「可愛い」と感じます。

    • Homer より:

      るるさん

      ありがとうございます。

      不完全さ、幼児性による可愛さ…。
      例えは非常に悪いですが、身体障害を持つ方に対して恋愛のような感情をもつ、そういう人が実は多くいると記憶しております。特に欧米で多いとか。
      同じように、蒲田くんのもつ不完全さを「可愛い」と感じる方がいるのかもしれません。